9.10.2011
五分後の世界/村上 龍
この前買った雑誌の特集で向井くんがあげていた本のひとつ。
あらすじを読んだ時から気になってたので、さっそく。
村上龍先生の作品は久しぶり。
ダブル村上は昔から結構好きです。全然タイプは違うけど。
今回は有川先生の「クジラの彼」の後だったので、ギャップがっ……。
あらすじはざっというと、もうひとつの日本、だ。
第2時世界大戦後も、日本が降伏せずにいまも戦争が続いているという設定。
日本人口は26万にも減り、地下に潜んで暮らしている。
1994年の作品なのだけれども、一癖も二癖もあります。
まずはかなり残酷な描写があるので、これは苦手な人はとことんダメかもしれない。
私は結構大丈夫な口なので、読み進めるけれども、描写が永延と続く。
ほとんど改行もないような描写が続くので読みにくさを感じにくくはないけれど
その詳細がありありと描かれるので、
つい自分もその場所にいるような錯覚を覚える。
全体的に今の日本に対する批判のようなものが滲み出ている。
お前たち、それでいいのか?
と問いただされているような気がする。
戦争という意味での「戦い」ならば私は反対するけれども
精神的な意味での「戦い」、自己に問い掛ける「戦い」ならば
確かに今のこの平穏な世界に住む私たちには欠けているものがあるのかもしれない。
与えられたものをただ受け入れて
いいとされるものを疑問もなくいいものだと思う。
この何も自身で考えることなく
ただ与えられた情報をただ呑み込むだけの現代人に対する憤慨。
もっと疑え。
もっとちゃんと自分で考えろ、ということか。
続編もあるらしいので、ちょっと読んでみたい。
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