11.15.2011
たとへば君―四十年の恋歌/河野裕子・永田和宏
たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか
国語の教科書に載っていたのを思い出す。
この歌を読んだ(聞いた)ことは学生時代にあったけれど
著者の名前もすっかり忘れていたし、著者自身のこともよくは知らなかった。
歌集というものに触れる機会があまりないので、
彼女の旦那さんがまた歌人だということも知らなかったのでまったくの無知だ。
そんな私が何気なく手にとったこの本。
何を読もうかと色んな本をぱらぱらとめくっていて、ふと目に留まったので試し読み。
少し読み出したら止まらなくなってしまってそのままお買い上げ。
この本は歌集でもあり、エッセイでもあり
永田さんが亡くなった河野さんにあてたラブレターでもあるような気がする。
河野さんと永田さんの出会いから始まり、結婚、子育て、
乳がんの発見から闘病生活、そして最後のその時までを
歌を通しながら、それらに時々エッセイが加わって語られる。
短歌というものについて詳しくは知らないしわからないけれども
短いその歌の中に篭められた想いがだらだらと書かれているよりは
なんともよりリアルで、二人の歌のやりとりに魅了された。
恋してる時の想いだけでなく、日常の何気ないことや
愚痴なんかまでうまい具合に歌にされていて本当にすばらしい。
乳がんが発見された時の彼女の歌。
それからの闘病生活は彼女自身はもちろんのこと
ご家族にとっても相当大変なものだったみたいだけれども
最後の最後まで歌い続けた彼女はやはり死ぬまで歌人だったんだろうし
それをわかっていて、最後まで彼女の言葉を書きとめてきた
「家族の愛」というのもものすごく感じられた。
何度も何度も読み返したい。
私にとっては特別な一冊になりそうです。
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